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ススキの秋便り

Img_1906_5 車で踏み切りを横切ると、線路沿いにビックリするほどススキの群れが穂を揺らしていました。9月というのは、やはり秋なのですね。

ボクは、この秋便りを写真に収めるため、空き地を見つけると車を止め、カメラを持って踏み切りまで戻った。

 えんえんと続く線路の向こうを見ていると、鳴ってもいない踏切の警報機の音がカーン、カーンと脳髄の向こうからなり始めた。車では、もう行けないけれど、この線路を歩いて行くなら少年時代のあの頃の町に行けるのだ。

そこには、もうこの世にはいない父ちゃんが、口を尖らせ横にまげ、ひょっとこ顔をしておどけて踊り、貧乏の子沢山、息子、娘、6人の僕らを笑わせている。いつの間にやら、どこかに散らばり、目の前にいなくなってしまった数多くの幼友達が、「どこに行ってたんだ、待ってたぞ」と言う。「おまえこそ、いつのまにやら、どこに消えちまったんだ。」と思いつつも、僕は、笑顔を返した。「さあ、行こうぜ!」って、誰だろう、空に向かって手を突き上げた。ーところで、どこに行くんだ?ー若かりし母や、少年時代の僕や弟、青春時代の兄、姉たちが、たまの御馳走のサバのみりんをナショナルの60ワットの裸電球の下で、おいしそうに食べている。ボーっと突っ立っている僕に、少年時代の僕が「いっしょに、食べよう。」と声をかけてくれた。「ごめんね。まだ、いっしょに食べるわけにはいかないんだよ。僕は、現実であり、まだ、なすべき仕事も、終わってないんだ。」キミは、好意を拒絶された恥ずかしさで、少し頬を赤くしている。ーありがとう。ごめんね。ー

 でも、もう一度、真っ赤な夕焼けと赤トンボの群れで、あざやかな紅に染まる大きな大きな、あの秋空を見てみたい。えんえんとススキの穂を揺らす線路を後にした。

2008年、秋。9月。

ナカムラユウコウの世界 

http://www.nakamurayukoh.com/

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