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一枚のハガキ  その5

Img136 ーさすが、そうだよ。ー
チハルがすかさず言った。

私はチハルに褒められたことを、いいことに
調子に乗って聞いた。

ー「運命ノルマ表」は誰が書いたんだい?
  二人が書いたの?ー

ーいいや、ちがうよ。-
ーじゃ、だれ?神様か?ー

ー神様?ー

チハルとヒロシが顔を見合わせた。

ー神様なんてこの宇宙には存在しないよー

いかにも二人の代表という感じで
チハルが言った。

ーじゃ、どちらさま?-

ーどちらさま、どなたさまは、まあ、いいよ
 いずれわかると思うけどー

思わせぶりにチハルが言う。

私はチハルとヒロシのはぐらかすような
言い方にイライラしそうになっている
自分に気づいて、もしも彼ら二人が
少し私をからかって遊んでいるというのなら
彼らの予想を裏切って、あえて冷静に
言おうと思った。

ーそうだね。誰が書いたかは、問題じゃない。
 中身がまじめなものか、信用できるものか
 共感でき感動できるかが、ボクの基準だ。
 たとえそれが10歳の少年が、鉛筆で
 書いたものだとしてもー

ーえっ、10歳の少年!?鉛筆!?-

ヒロシとチハルは少し目を見開き大きく広げ
口をすぼめ顔を見合わせ、そして笑い出した。

ーえっ、何が、おかしいー

ーいや、なんでもないー
ーいや、なんでもないー
と二人は同時に言った。

チハルもヒロシも
昔からよく突然笑うことがあった。
だから気にしない。深追いはしない。

ーなんか、いやな感じだな。
 まぁ、いいや。その肝心の
「運命ノルマ表」とやらは?-

ーああ、渡すよ。はい・・・-

チハルが胸ポケットから
取り出した。

金の箱でも、木箱でもない。
封筒にさえ入っていない
何やら一枚の紙切れだ。

「運命のノルマ表」妄想し
期待だけ大きくなっていたので
少々拍子抜けだ。

それは、カッターでなく
手で破かれたノート1ページだった。
しかも、それは、へたくそな文字で
鉛筆で書かれてあった。

今日からの10年間のノルマ
仕事がびっしりと書かれていると
思っていたが、書かれてあったのは
たった一文だった。

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