« 一枚のハガキ     その2 | トップページ | 一枚のハガキ  その4 »

一枚のハガキ  その3

1 ーおどろいた?-
チハルが言う。
ヒロシは、相変わらず
にゃにゃしている。

ーおどろかねーよ!ー
私はあわてる様に即答した。

親しみと笑顔で語られた言葉に
少々、語気が強すぎた気がしたが
私は私なりに
二人のことを気味悪がっていない
全然、怖がっていないよという
気持ちを伝えたかった。

しかし、そのバランスを崩している分
あわてている分、やはり、どこかに
二人に対して、この状況に対して
不安や恐怖のようなものが
あったのだろう。

チハルは4年前
ヒロシは27年前に
すでにこの世を
去っていたのだった。

チハルは私に
ウィトゲンシュタインを
ヒロシはニーチェを
会わせてくれた。

ーいや、本当は、驚いたよー

ーおどろくよね。ー
二人はまた、顔を見合わせて
笑った。
私も笑った。

3人で笑った。

ーでも、チハル、ヒロシ。
 ボクはずいぶんと度々、二人を
 思い出していたよ。
 思い出す度に、ボクは力をもらった。
 思い出す度に生きていることに襟を正し
 思い出す度に襟を出して生きて行こうと
 ボクは心が凛としたよ。

 そして、宙のどこからか
 膨大なエネルギーがボクの体の中に
 注がれるのを感じたんだよ。-

チハルが言う。

ーそうだね、思い出してくれているのは
 知っているよ。
 誰かが思い出してくれるたびに
 この宙のどこからかエネルギーが注入される
 ような感じを受けるんだ。
 この世も、あの世も宙は不思議な仕組みと
 力とエネルギーが充満しているんだ。

 そのことが、もっとはっきり強く確実に
 わかっていたら、ボクらは革命的人生を
 もっと強烈に生きることができたんだけどね。
 生きている時には、わからないものさ。-

ヒロシがまじめな顔をして話し始めた。

ー生きている時には、ボクらは
 ずいぶんと深刻な顔をして
 いろんなことを議論したように思う。
 でもそれは、まるで女子中学生や
 女子高生が、あっちのパフェがおいしい
 こっちのクレープがおいしいと
 おしゃべりに花を咲かせているようなものだった。

 世界の様々な出来事
 自分以外の有名無名の誰かについては
 ずいぶん話し込んだ。

 しかし、ボクらは、一番根本的な問題を
 議論していなかったんだ。

   「自分の意味だよ」ー

     続く・・・・・

|

« 一枚のハガキ     その2 | トップページ | 一枚のハガキ  その4 »

人生」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 一枚のハガキ  その3:

« 一枚のハガキ     その2 | トップページ | 一枚のハガキ  その4 »