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日本中、それぞれの義援金物語「母のこと、弟のこと」

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今日は、絵描きの弟の行商話をしよう。

私も絵を描き絵と関わって
もう30年以上がたった。

                                                               
そんな長い月日が
経っていれば
独りよがりの
自薦の名作もいくつかはある。

その一つが
大学4年、ずいぶん背伸びして
開いた初個展に出した
「母と弟」を描いた
4号の小さな油彩作品だ。

弟は6人兄弟の末っ子。
母はこの頃40代後半かな。
病人の長女の姉と
くも膜下出血で病に伏した父の
二人の病人を抱え
それでも6人の子供を
母は風邪一つひかず
泣き言一つ言わずに
気を張って頑張って
育てていた、そんな頃だ。

貧しくとも
私どもは兄弟仲がよく
こと、末っ子の弟の話すこと
為すことは私たち兄弟皆の
日常生活の唯一の何よりもの
楽しみであった。

年月の流れるのは
本当に早く、あの頃から
40年の月日が経ち
今日は盛岡の街中の
温泉に来て露天の寝湯に
寝転がり星空を見ながら
話をしている。

もう何年になるかな。
7年?8年?いや9年目に突入か?
写真家の友人、大谷君と
弟の3人で毎週水曜日の夜は
風呂・温泉デーにしている。

ところがこの3月11日の
あの巨大地震、大津波以来
初めて3週間休みの久しぶりの
温泉だ。

何せ、ガソリンがやっと
ここ数日前から普通に入れられるように
なったばかりで、ここしばらく
動きが取れなかったのだ。

「地震の瞬間、その時、私は・・・」談義から
話はこの観測史上、最悪のこの悲惨な
天災の中、報道やマスコミで見聞きする
感動話の情報交換会になり
やがて、義援金の話になった。

私もブログにも書いた
タイのスラム街の子供たちの募金活動
台湾の義援金のこと、芸能人や企業の義援金
そして孫さんの100億円の義援金などなど。

「明々後日、東京に行商に行ってくる。」
と右横隣に寝ている弟が言う。
私が言うか言わないかのうち左隣の大谷君が

「行商ですか?絵を売りに行くんですか?」

「野菜は作ってないからね。」

弟が語り始めた。

ー毎日、泣いて暮らしてる。
 目の奥も、頭も痛い。
  ずっと頭痛薬が欠かせない。

 おっとい、東京に住んでる
 同級生からメールが来て泣かされた。

 盛岡、地震は大丈夫かってさ。
 ひでえ不景気になる。
 お前、絵とか大変だろうってさ。
 それで、俺の絵、買いたいっていうんだ。
 
 被災地のふるさとで描いてる
 お前の絵飾ってさ、流行のように
 今だけでなくずっと1年も2年も、
 いや5年も10年も
 支援する気持ちを忘れないように
 しようと思うんだってんだ。
  
 その度に、ふるさとに
 被災地に愛を奮い立たせるのさってね。

 ただ、条件があるというんだ。

 俺は、そういう意味で
 お前の絵を買う。

 ただ、直接、おまえから
 買うわけだから普段デパートにやる分を
 お前から、赤十字でも被災地にでも
 いいから募金して欲しい、いいかな
 っていうんだよ。

 すごい大岡裁きじゃないか。

 泣けたよー

 そいつは、そんな金持ちじゃないし
 むしろお金ない時も
 俺の節目やたいへんな時
 いつも絵買ってくれてんだよね。

 そんで、俺、行商決めたのさ。
 車に一抱え絵積んで、あいつの会社に
 行ってさ、絵が好きな人も多いって言うから
 そこで寅さんになって絵のたたき売り。
 あと何箇所か賛同えたところも回ってくるよ。

 目には目、歯には歯を(ちょっと違うと思う。)
 心意気には、心意気よ、(それならいい)
 売り上げ目標最低50万
 願わくば200万、今回は
 利益の全額、義援金だよー 

 私が言うか言わないかのうち左隣の大谷君が
 「えっ、えー!全額ですか?」という。

ーそう、今、この熱い思いのまま全額さ。
 その後は、養う人、家族いるわけじゃないし
 死んじゃった可愛いボッシュの
 餌代だと思って毎月、1万、2万と
 ずっとやろうと思ってる。
 長いでしょ、この復興は。ー

 私が言うか言わないかのうち左隣の大谷君が
「えっ、えー!毎月ですか?」という。

弟はすでに、街の募金箱に小銭や
お札を1,2枚入れるのでは
気がすまないと、纏まった金額を
日本赤十字社や県に振り込んでいる。


弟は、昨日、90歳の母に会って
この行商と全額、被災地に寄付する旨を
話したという。

いつも個展の度に、絵が売れるよう
神様、仏様、何様にと祈れるものに
祈ってくれている母。

売れたら売れたで
無駄使いせず感謝して大切に使えよと
言う母。

末っ子は、やはり、可愛く
心配なのだろうと思う。

弟に「このお猿」「婆さま」と
からかわれても
うれしそうに楽しくてたまらない
しあわせそうな母がいつもいる。

ーおふくろに、行商した
 50万、100万全額、
 募金すると言ったら
 なんといったと思う。-

私は、「少しは残せ」
「生活、大丈夫か?」などと
月並みな答えを思い浮かべていた。

ーおふくろはさ、
 『頑張れ!』って言ったんだよ。
 会う度にいつも、生活やっていけているのかと
 お金の心配をするおふくろがさ
 頑張れって言ったんだよ。

 こまってる人にやるお金は
 回りまわって自分を助けるんだってさ。
 頑張れってさ。

 俺、この人が、母で良かった
 この人が、かあちゃんで良かったって
 つくづく思ったよ。

 頑張れってさ。

 おふくろは、誇りだな。-

生活は貧しくとも、心の貧しくない母に
私たちは育ていただいたのだな。

100万円やったって
避難民25万人としても
数円にしかならいとか、
みんな宣伝と人気取りじゃないかとか
自分が何も出来ない、していないことを
既に行動している人や、
その行為を引き下げることで
自分を高めたり、位置を維持したり
弁解したりする、嫉妬の構造に似た
めめしいことや、小ざかしいことを
言ったり穿ったことを言ったりする
気持ちの悪い弟でなくて良かった。

そして、星空を仰向けに
見上げながら、母に習って
私も「頑張れ。」と思い直した。

そんなことを思って
感慨に浸って星空見上げていると
左隣の弟の声がする。

ーいろんなやり方が人それぞれあると思う。
 みんなが少しでも、できる限りに
 義援金を送りたくなる
 ボランティアをしたくなる
 いい文章、まあ、そいう気持ちで
 書いているんだろうって思うけど
 ブログで頑張って!-

40年の月日は、短いようで
やはり長いものだ。

5歳離れている私は
忙しい母に代わって
黄緑色の色の褪めたおんぶ紐で
弟をおんぶしたものなのに
ずいぶんいつの間にか生意気に
育ったもんだ。

私は、星空に向かって
「ハーイ!」と言った。

左隣の大谷君が
「ユウコウさんって素直ですね!」という。

私が「ハーイ」と可愛く答えると(キモイ!!)
湯船に3島、ひょっこりひょうたん島を浮かべて
ムサイ男が3人で星空見上げて声高に笑い
ちょっとご迷惑だったかな。

まっ、旅の恥はかき捨て

人生は旅だ。

P1100018
高松の池の2キロ弱の辺を散歩するのを日課にしていた母も
ここ数年やはり90も過ぎると弱ってしまった。この写真は
2年前の散歩の時、撮影した母と弟、私のお気に入りの一枚。

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コメント

泣けました。

素敵なお母様に産んで育てていただいたんですね。

素敵な弟さんをお持ちなんですね。(なんて、知ってますけども)


誰だったか忘れましたが、自分は母親の作品だって言った人がいました。
何十年か生きてくると、自分が作り上げた環境や不要なしがらみなんかで変わってしまうところもあるけれど、でも根っこはひとつなんですよね。

やっぱり心意気というか生き様のDNAは流れているもんなんですよね。

今回の震災で被災したすべての命や魂のことを思うと、今でも呼吸が苦しくなったり動悸が激しくなったりします。
でもこの時代に生まれて、この経験をしたことは「これを機会に自分の良心にのみ振り回される生き方に切り替えなさい」といわれているのかな・・・と思っています。

そう、長期的につづけていくことが必要ですね。
私も自分の出来ることで地道に長く、支援の道を考え歩いていこうと思います。

投稿: toughgirl | 2011年4月 9日 (土) 20時27分

感動です!!
ステキなお母様と仲良し兄妹の強い絆を感じます。

今回の大きな大きな不幸によって「試されている日本」を感じています。
いじめも鬱も自殺者も減って(予想ですが)。。。みんなが自分にできることを探しています。
そんな精神のつながりが、大きなエネルギーとなって被災地を支えていくはずです。

小平の姉と国分寺の駅前で、5月頃手作りメインのフリーマーケットを
やろうと去年から計画しています。
売上金額なんて微々たるものでしょうが。。。全額義援金にしようと考えています。

投稿: ビバ | 2011年4月11日 (月) 14時03分

toughgirlさん

被災地も被災地で無い人も
時間が経つにつれ
主に経済的な問題が
少しづつクローズアップされて
くるでしょう。

しかし、津波被害の被災地に対しては
長く気に留め出きる所で、それぞれが
応援していかねばなりませんね。

頑張れ!日本!
そして、一人一人が、頑張れ!自分!
ですね。

投稿: | 2011年4月12日 (火) 09時21分

ビバさん

「小平の姉と国分寺の駅前
 手作りメインのフリーマーケット」

楽しみです。頑張ってください。

金額ではなく、何事も行動です。
そして、結果です。

100万寄付したい、寄付したいといって
結局1円も寄付せずに終わる人より
気持ちいっぱい行動して
5000円でも、10000円でも
売り上げを起こし寄付する人の方が
ステキですばらしいことです。

成功を祈ります。


投稿: | 2011年4月12日 (火) 09時31分

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