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苦しい苦しい絵が仕上がった。

もう何か月前から
取り組んでいる絵がある。
新築祝いで頼まれた絵だ。
条件は私が描いたものなら
なんでもいいという
条件にもならない条件。

もちろん、普段手を抜いて描いている
わけではないけど、一番手を抜けない
条件でもある。

ということで、これで行こう
行けると言うアイデアが湧いて
それでそれなりに穏やかに
筆を置き色を重ねて
平和に過ごしていたのだが
いよいよ引き渡し数日前になって
雲行きがおかしくなった。
予感的中。
やがて嵐がやってきた。

今一つ、何かが足りない。
今一つ、何かが違う。

ここちがう、ここちがうと潰しているうち
結局、画面全部を潰すことに。

そしてまた描き始めいよいよ
8割、9割、完成間近、佳境に
入らんとするが、何かが違う。
塗りつぶすごと、二度、三度
何かが違うと三度、四度。

もう絵は描きたくない。
もう絵は描けない。
もう絵は描かない。
文章だけにしよう、絵とはさよならの時なのだ。
などと、泣きべそかきながら
夜通し描き続け、朝焼けが
訪れたその時だ。

絵の神様が、降りてきたのだ。

泣きながら塗りつした
何度も重ねた下地材や絵の具によって
出来たマチエルのそのでこぼこに
大きな顔、大きな眼差しが見えたのだ。
そしてまもなく画面全体、一枚の絵が見えた。
それから数時間、私が描いているのか
誰かに描かされているのか筆が自然と動き
満ち足りた時間が流れて行った。
その数時間の間に絵を描くこと20年、30年
積み重ね身に着けたすべて技術、感性
がそこに現れたようにも感じた。

これだから、絵を描くことは
辞められない。私はMか。
でも、本当にもう絵は描けない、描きたくない
描かないと本気で思っていたのだ。

2001年。初めて全国版、NHK出版の世界的な
ベストセラー「世界のたね」の表紙をかいた時の
苦しさ悪戦苦闘以来のものだった。

自分しか頼りにならない。
頼れない世界、作業が絵を描くこと
創作することだ。

たとえ、ゴールも完成も見えなくても
「違う、何かが違う。」という事だけは
わかる。それを信じて、それだけは信じて
それだけは大切にして、見えてくるまで
自分を信じて、一生懸命やっていれば
必ず絵の神様はやってくる。

絵の神様は、宇宙のどこからかやって来るのか?
宇宙の138億円の歴史を秘めた私の中の
どこからかやって来るのか。

ま、どこに住んでいようと構わない。
大切なのは、呼び方、会い方が解って
いればよい。

やっぱり私は、絵を描く人間
おそらくきっと描いた方がいい人間なんだと
思う。

さあ、絵を描こう。

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