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サトウ先生からの手紙

小学校の担任だったサトウ先生から
一枚の葉書が届いた。
先生は88歳、ご主人は92歳になられたとのこと。
御主人は警察官を勤め上げた後
民間の自動車学校の校長をした。
私は、受講無料券をいくらか戴き
無事免許を取ることが出来た。
さて、葉書に書かれていたのは
食事・介護・医療サービス付きの
高齢者住宅の2人部屋に
ご夫婦で入居されたとの事だ。
先生らしい、男っぷりのいい英断だ。
誰の世話も見て、教え子たちはもちろん
何より教師の前に母でもあり立派に子育てし
退職後も保護司として若い受刑者の社会復帰に
献身した。
面倒見のいい、人の面倒見る人生でありながら
他人はおろか、自分の子にさえも煩わしたり
少しも迷惑はかけたくない
自分のことは自分でしっかりケリをつける
男っぷりのいい武士のような女性だ。
先生は、私が個展をする度に
見に来て下さり、来られない時は
菓子と共に心のこもった美しい文字の
お手紙をくれた。
絵だけでなく自分のコトバにイラストや写真を
付けたコトバポスターなるシリーズも
発表するようになったある時は
「あなたのコトバ好きですよ。」
と言いながら、本当は気になる所が
あったかもしれないし、言葉通りなのかは
わからない。
ただ、先生はご自分が文章と向き合う時
大切にしている座右の銘としている
井上靖の言葉を手紙に書き添えてくれた。
ー文章は、むずかしいことを やさしく
 やさしいことを ふかく
 ふかいことを ゆかいに
 ゆかいなことを まじめに
 書くことー
というものだ。
私はアトリエのデスクの前に小さな額に入れて
いつも目につくよう置いてある。
先生は、毎日、朝の会で、面白おかしく解説をして
一つことわざを教えてくれた。
それと、よく突然、図書館の紙芝居を読んでくれた。
子だくさんであまり裕福でない楽しみの少ない私には
おそらく皆よりその時間が楽しくてたまらなかった。
近々の日曜日、邪魔にならないような
小さな絵とお菓子でも持って
共に兄弟6人で何かと似ている家庭環境で育ち
仲の良かったカズアキ君と顔を出しに行こうと
思っている。

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